一護とルキア 1
俺んちの(黒崎家の)リビングで ルキアが一人ソファに座り、可愛らしくクッションを
胸に抱えてテレビを見ていた。
そのソファの後ろを何気に通りかかった俺は
「ほぉ〜〜っ!」 とか「おおっぉ」っとか、
ルキアが しきりに関心している声を上げているのに気付いて画面を覗く。
なんか豆が しゃべる あのCMだった。
そんな俺に気付いたルキアが 振り向いて俺を見上げて聞いてきた。
「一護、ふらんす語でたんぽぽを おねしょと いうそうだが、ふらんす語とは なんだ?」
(うおっ ぜってぇ聞かれると思った・・・・。)
「前に英語の説明した時に地図を見せただろ。
あれと一緒でフランスって国で話されている言葉の事だって。」
「ほおぉ〜。 そうか。 では 一護は知っておったのか?
かばの汗はピンク色だってことを。」
「知るかよ。」
(こうして、コイツは 訳も分からないまま、無駄知識を増やしていくのか・・・・・・。)
俺は 軽く溜息をつく。
出来れば、もう少し男女の機微とか、そういう事を学んで欲しい、ってかもう少し俺を
男として意識して欲しい・・・・・。
そんなどうしようもない事をルキアに望む自分に呆れていると、
「ーーーーしかし、これから弁当を食そうと言う際に、かばとかいう動物の汗の話など
されれば、確かに食欲は無くす・・・・・・。」
ーーーえ?!!
「てめぇ、ルキア、それ違うだろ!!
豆が喋ったから食えねえんだろ!
喋る豆なんか口に入れたら、口の中で喋ったり、叫んだりするんだぞ!!
そんなん気色悪いモンが食えっかよ!!」
「ーーーお、おぉ!!」
ーーーおぉ じゃねえから・・・・。 ルキア・・・・、てめぇ
ホント ルキアだ・・・・・・。
たかがCMに ルキア相手に熱く語った己に脱力する俺。
実は これって先日実際にあった 家庭内での会話。
もちろん暈けているのは 私ではありません。
突っ込み入れてるのが 私です!!
<ここは 強く主張したいところ。 天然じゃないって!
一護とルキア 2
「ルキア! てめぇ なにやってやがる!! 何を起きていやがる!!」
俺は 学校から帰って自分の部屋にも行かずに妹達の部屋に直行した。
案の定、ルキアは大人しく寝ていないで、ベッドに起き上がりスケッチブックを
広げていた。
「一護!! てめえ、俺の姉さんになんて口を聞きやがる!!
姉さんはなぁ、姉さんは!!
いつだって、おめえのために!!
俺等のために無理して・・・・・・ ぼべっ! うおぉ〜〜〜〜」
煩せえコンを 窓から放り投げる。
「一護、貴様。 帰る早々、煩いぞ。
暇だったのだ、これくらい良いではないか・・・・。」
「・・・・っだーーっ! 煩いじゃねぇ。 は〜〜っ・・・」
俺は 呼吸を整えると声を荒げないで、声のトーンを抑えてルキアに話しかけた。
「おやじが言ってただろう、お前今まで無理して動いてきたから休む時がきたんだって。
お前は 一人で居て、辛い気持ちとか、焦る気持ちは わかるけど・・・・
いや、ホントは 俺になんか
わかっちゃいねえのかもしれねえけどさ・・・・。
でも、俺もみんなも心配してるし、学校じゃみんな、
お前に会いたがって待ってるんだぜ。」
ルキアは 俺がいつもと違った言い方をしたために驚いたように俺を見上げたが、
頬を赤らめて顔を逸らせると口を尖らせた。
「・・・・わかっておる。 すまぬ。」
ーー その顔はすごくかわいい。
俺は ルキアの隣に座ると肩を抱いて 話をする。
「暇なら、俺が 話をしてやるよ。 今日あった事とか、 これからの事。
あ、井上とたつきとか・・・啓吾、水色が今度の日曜に遊びに来るって言ってたっけ。
それで良くなったら遊園地に行こうって。
あ、お前 『かば』も見てみたいって言ってたろ。
動物園に行くのもいいかもな。」
「・・・・・・一護、ありがとう。」
ルキアが それは綺麗な笑顔で俺を見上げていた。
「バーカ、 まだ何にもしてねえよ。」
俺は 照れ臭くなり、思わず 手を放し、そっぽを向いた。
「 むぅ、馬鹿は余計だ。 どうも貴様は 一言余分だ。」
そう言ってルキアは 大人しく布団にもぐり込んだ。
「一護」
呼ばれて振り向くと 小さな手が差し出されていた。
ーーー俺に手を繋げってのかよ!!
だし、そんな顔で見上げてんじゃねえよ、ちくしょ。
「もう少し何か話して行け。」
ーーー命令かよ・・・・。
俺は ルキアの少しひんやりとした小さな手を握って今日の学校の事を思い出しながら
話をした。
越智先生の事、 啓吾の話していた事。
チャドのバンドの事。
水色が最近嵌っているドラマの事。
気付けば、ルキアは 俺の手を握ったまま、静かに寝ていた。
綺麗な静かな寝顔。
額の髪をそっとかき上げて、口付けた。
ーーー俺が一番 お前の 『元気な姿』 を待ってるんだぜ。
ルキアが無理しすぎて、義骸の調子の悪いという設定です。
Apr.6/2008