誕生会 




「いちごvvv 誕生日 おめでとうvvv」

そう言って、何時もの白い肌を頬を紅潮させ、大きな紫蒼の瞳を潤ませて 
隣に座った俺の腕を掴んで ねだる様に見上げるルキア・・・・

「ーーおぅ、さんきゅ。///////」

ーーうぉおおお。 なんか いつも以上にめちゃめちゃかわいいんですけど・・・・。

その後も コイツらしくなく、俺の腕に 自分の腕を絡ませたまま 
寄りかかるようにしなだれかかってくる。

ーー?


俺の誕生日が 今年はたまたま週末だったので 井上(たつきは空手の大会で遠征中)
を妹達が夕食に招待して いつもより賑やかな夕食となっていた。

ーーいや、この年の男に 『誕生会』とか言うのは まじ勘弁してください。

まさにオヤジがいれば、超喜びそうなメンツだが、 何故か総合病院から呼び出され、
かりんに蹴り出されて 泣きながら行った。  

ーーいい年したおっさんが 往来を泣きながら歩くのは 止めてくれ!!

「お兄ちゃん、顔真っ赤・・・・」
「うひひひ・・・・ 良かったな。 
 一兄ぃ、今日は両手に華、いやハーレムだな。」

向かいに座る妹達が からかってくる。
ソファの反対隣には 井上が居て

「ぇえ〜、華は朽木さんだけだよぅ〜。
 私なんて・・・・・ねぇ、黒崎君vvvvv」

ーー ねぇって、言われても、正直 なんて返しゃぁ いいんだよ!?
   俺に そんな高等な科白は 無理だって・・・・

「そうだ、井上!  井上こそが 華だ!! 一護、貴様、果報者だぞ!!」

そう言って、ルキアが けらけらと 笑う。

ーー??

ここにいたり、やっと全員がルキアの様子がオカシイことに気付く。

「ルキア、てめ。 なんか アルコールの入ったもの飲んだだろ?」
「あるこおる?  飲み物? 紅茶に砂糖なら入れたぞ。」
「なんか・・・・、朽木さん 
 もしかしてケーキ食べてからテンションがおかしくない?!」
「あ!  まさか・・・・・、ケーキのスポンジの表面に塗るシロップに 
 ブランディーを少し香り付けに入れたからかなぁ?」

今日、俺のために苺のショートケーキを焼いてくれたゆずが不安そうにそう言った。

「えぇ、そうなのか?!  でも お前たちは なんともないんだろう?」

ゆずとかりんが こっくりと頷く。

ーー 小学生よりアルコールに弱い 150歳の死神かよ?!  ありえない!!

「ごめんなさい・・・、お兄ちゃん、ルキアちゃん。」
「何言ってるんだ。 ゆずは 何も悪くねえよ。
 コイツが弱すぎだって。
 作ってくれて嬉しかったよ。 
 改めて礼をいうよ、ありがとう。  とってもうまかった。」
「そうそう、ゆずちゃん。  ホントに美味しかったvvvvvv」
「そうだぞ、ゆず。  なにも謝ることなんてないぞ。  
 私も少しだけだが、手伝わせてもらえて とても嬉しかった。 どうもありがとう。 
 ほんとにゆずは 料理をたくさん知っていて しかも上手だからすごい!!」
 「きゃ。」

ルキアが突然立ち上がって、ゆずに抱きついた。

「かりんも一緒に手伝ったのだが、すごく手際が良いのだ。  
 ありがとう、私も見習わねばと思った。」
「うわ!」

かりんにも抱きついた。

ーー いや、お前は天才的に無器用だから、それは無理だから!!  

俺は心の中でこっそり突っ込みを入れた。

「井上は明るくて元気で 私は大好きだ。」
「朽木さん、私もだよvvvvv」

井上とルキアが抱き合う。

ーー うぉおお・・・・・、 なんか とろんとした目で 
   俺を見てるんですけど!!
   まさか 全員に抱きついて回る気か?!  
  
その場の全員が 成り行きを見てる。  そんな一種異様な雰囲気・・・・。
ゆっくりとルキアが井上から離れ、俺に近寄ってくる。
なんとなくソファに座りながらも身構える俺。

「・・・一護。  私は 貴様を・・・・・・」
   
そう言って 俺の首に腕を回して、抱きついて・・・・・・・、


ーー ???

何も言わず、動かない。  
もちろん俺はフリーズしたまま動けない。

ーー なんだよ!  何を俺に言うつもりなんだよ!!  
   言うなら早く言えって!!


「お兄ちゃん、ルキアちゃん 寝ちゃったみたい。」
「きひひひ・・・。  
 一兄ぃ、残念だったな 
 ルキアちゃんが何を言うつもりだったか聞けなくて。」

ーー 思いっきり脱力する俺。  
   なんか すごく疲れた・・・・。  
   俺の無駄な緊張感を返せ!! 


「ーーーいいんだよ、どうせコイツの口からは俺を罵倒する言葉しか
 出てこねぇよ。」
「ふぅ〜〜ん・・・・、そうかなぁ。」
「そんなことないと思うよ、黒崎君・・・・・。」
「そうだよ。 お兄ちゃん。」
「はぁ〜っ。  とにかくこのしょうがない酔っ払いをベットに置いてくる。」

俺は どうにか平静を装って、ルキアを抱えて二階に上がっていく。

ーー 正直、何を言いたかったのか、聞きたかった気もする。
   だが、胸の奥に 酔った勢いで言われて堪るかって気持ちが 
   ある事に気がつく・・・・・。
   そうだな・・・、言われなくてよかったんだ、
    ーーーー男としてだせえのは勘弁だ。



俺は 意地っ張りで口が悪くて 手先も生き方も無器用な死神 だが、凛とした
強さと脆さで俺を魅了するルキアをそっとベットに置くと柔らかな髪を掻き揚げて 
額にキスをした。

ーー 俺から言う。 だから 覚悟しておけ。



一護 誕生日 おめでとうvvvv July.15.2008