一護の誕生日



アイスと缶コーヒーを持って、ルキアが戻ってきた。

「一護?  どうした?  悪い話か?
 夜一殿がいらしていたようだがなにかあったのか?」

怪訝な顔で夜一さんが去った方向に目を向けながら聞いてくる。


「ーーーーいや、なんでもねえよ。」
「・・・・そうか? 
 眉間の皺がいつもより深いようだが?  はい。」
「ん、ありが・・・・・って、冷て!! 
 おま、なにするんだよ?!」

俺の受け取ろうとした手をスルーして、冷たい缶コーヒーを額に押し当てやがった。

「ははは・・・・、貴様が大人しく口を割らぬからだ。」

ルキアは 笑いながら俺の隣にふわりと腰掛けると 不機嫌に怒る俺に構う事無く 
いやに濃い赤紫色のアイスキャンディをしゃりしゃりと食べ始めた。
その小気味いい音に誘われてふと食べてるルキアの顔に唇に目をやってそのまま
釘付けになる。

ルキアの唇はいつも綺麗な色をしている。 
今 アイスの所為で濃く色付いて 艶めいて扇情的に俺を誘う。

「なぁ、それって 何味なんだ?」

俺は冷たい缶コーヒーのプルトップを開けながら聞いた。

「・・・ん?  たしか カシス味とやらだ。  
 −−ほら。」

突然目の前にアイスを突きつけられる。

ーー まさか、食えってか?

「一護、何をしておる。 
 貴様、百聞は一見に如かず という言葉を知らぬのか?」

ーー いや、普通に知ってるって。  じゃなくって! 
     ここで食ったらどう見ても馬鹿ップルだろう。
   いやいや、そうじゃなくて・・・・・・。 
     くそ!!  コイツ、素でこういうヤツだよ! 泣




★挿絵


「ーーーーーいや、いい。 
 すごい色だから何味か知りたかっただけだから。」

俺はなんとなく赤くなっている気がして 顔をルキアから逸らす。

「そうか・・・・・。  
 で、夜一殿は何と言っておったのか?」

ーー くそ!!

「・・・・お前の義骸の事だよ。」
「なら、何も問題あるまい。
 そんな難しい顔をしておるから、何事かと思ったぞ。
 ーーーまったく、貴様の近くは霊圧を感知し難くて困る。」 

「問題なくねえだろ!! 
 夜一さんと浦原はそうは言ってなかった!!」
「いきなり熱くなるな、一護。
 どうせ、浦原が作ってくれる緩衝材とやらが出来るまではどうすることも
 出来ない話なのだから。」

変わらずにしゃりしゃりとアイスを食べながら、淡々とそう言った。

ーー こういう時のルキアは 大人びた顔をしていて ムカツク。
   そうじゃない、問題はそこじゃない!!


「だいたい、俺は何も聞いてない!」

少しムキになってそう言った俺を 落ち着いた静かな揺らぎのない瞳で 
ルキアが見上げてくる。

「私の義骸の事だ。 
 私自身が気を付けていれば、何の問題もない。」

「・・・・そして、俺は 万が一 お前に何かあったとしても
 何も知らないんだ。」 

声が、顔が 引きつったようになって 俺に ルキアに嫌な感じを伝える。

「 ・・・・・一護・・・・? 」
「・・・俺は お前を大事にしたいと、護りたいから何でも知っていたい 
 お前の事が 好きだから・・・・・。
 お前は 俺のそんな思いなんて関係ないと お前の問題だからと言うのか?」
「///////// 一護・・・・・。
 そうではない。 
 そんな風に思ってる訳じゃ・・・・・。

 ーーー私は・・・・ 護られるだけの自分は 嫌なのだ・・・・。
 それに
 負担になりたくはない。
 好きな者 大事なものには なおさら ////////」  

ルキアが真っ赤な顔をして、慌てて手で口を押さえる。

ーー 意地っ張りなコイツの口からこんな科白が聞けるとは思わなかった
   すごく嬉しい。  
   いつも憎まれ口や偉そうな科白以外の本音が聞けた

思わず抱きしめる・・・・ 

ーー ずっと 抱きしめたかった、俺のもの 俺だけのものだと
   実感したかった  
   華奢なその小さな身体を抱きしめた

   だいたいコイツの周りにはコイツを想うヤツ等が多すぎるんだって
   本人はこんなに無頓着で鈍いから・・・・ 
   こんなに好きなのは 夢中なのは俺だけだと。

「////// ・・・・・・・一護・・・・ 
 いち・・ご・・ くるし・・・・ 」
「あ、悪りぃ。 
 でも、いいか。 お前のことで 負担なんかない!
 負担だと思うなら、最初から関わったりしない。 
 だから、なんでも俺に話せ。  
 なんでもいい。 
 大事なことも 大事じゃないことも。 
 そうして、分かり合っていこう。  
 お前が俺を大事だと思ってくれるなら、俺を護りたいと思うように俺も護りたい。
 それなら、護られるだけの関係じゃないだろう。
 お互い様ってやつならいいだろう?」

「/////・・・わかった・・・・。」 

さっきまでの大人びた表情はどこかに消え、華奢な身体に見合う幼い顔が頬を真っ赤に
染めて素直にこっくりと頷いた。



「−−−−あ、やっぱ、アイス試食させて。」
「貴様が急に抱きつくから、落とし    あ・・・・」

ルキアの抗議を無視して 再び抱きしめてキスをした。




「・・・・・一護、貴様・・・・・!?」

真っ赤な顔で抗議するルキアを無理矢理平静を保ってやり過ごす。

「なんだよ、百聞は一見に如かず なんだろ?!」



そう言い返してきた一護はすごく楽しそうな、余裕の顔をしていた。

恥ずかしくて、なんか悔しくて・・・・ 私は

「たわけ!!」

そう言い棄てて、一護の腕から抜けてすたすたと歩き出す。

「待てよ、ルキア。」

腕を掴まれ、帽子が頭に乗せられた。

「次、何を見に行くんだ?」
「象とコアラだ。」

私たちは どちらともなく自然に手を繋いで歩きだした。

きっと この先も手は繋がれたまま









この二人は 関係が対等って感じ。 悪戯っぽくキスしてvvvv 一護がルキアに悪戯を仕掛ける感じ・・・・・。   思わず 意地悪したくなっちゃう 関係を希望します。 TOP