蒼月 



  蒼月 




一角さんの後から穿界門を通り抜けるとこんな時刻なのに嫌に尸魂界は明るかった。
見上げれば、天空の高い位置に綺麗な円を描いて、小さいくせに眩しいほど
青白く輝く月があった。

まるで俺の中のアイツみたいな月。

俺の心の闇の中を高い位置から照らし続ける唯一つの光。

俺達のどうしようもない荒んだ心を拾い上げて、認めて
生きる価値を教えてくれた。
俺の古い劣等感さえたった一言で一掃してしまったヤツ。

記憶にはっきりと残る白い花のような笑顔と細いしなやかな身体が 
今なお俺を魅了し続ける。


小さいくせに気が強くて生意気で 鈍臭くて、世話の焼けたヤツ。
寂しがりのくせに 強がりばかりで 俺を巻き込まないために
俺にまで嘘を吐いた・・・。
 
力強い意思を持って輝く蒼い瞳は 俺の心を捉えて放さないままだ。

アイツは 自分が一番辛かった時、俺に何も言わずに往ってしまった
ずっと見守っていたつもりだったのに肝心な時に
救いを求める小さな声を聞き逃し
伏せられた助けを求める瞳を見落とした 
アイツのいる場所は 安全だと過信して、違うモノ(未来)を見ていたから

だが、この最後のアイツの強がりは 絶対に赦しはしない。

今度は力を手に入れて、絶対護るから。
強がりなんて言わせないほどに・・・。   

それまでは 欠ける事無く、誰も手の届かない天上高く輝いていて・・・・











  昨日、本当に綺麗な満月だったんです。  冬の月って空気の透明度が高いせいか(?)で蒼白くて綺麗です。 蒼白く輝く月が本当に好きです。  その蒼白さが冷たさと清浄感を持っているから。  心が洗われるような、醜いモノを浄化してくれるような ・・・・そんな気がします。 1/24/2007