誕生日 おまけ


誕生日 おまけ(拍手だったヤツ)



6番隊隊舎・隊主室では 副隊長・阿散井恋次が一人書類を整理していた  

今日は ルキアの本当の誕生日だ。

例年なら隊長は 予定通り午後から仕事に就くと聞いていたのに、
今年は昼を過ぎても現れなかったし、連絡もなかった。 
(もっとも、こんくらいの事をいちいち連絡するような人じゃねえけどな。)

昨年の夏の藍染の一件以来、ルキアと隊長の兄妹は以前より関係が
とても良好になった、つーか普通の兄妹になったので、遅いのは
その表れなのかも知れない。

ま、ある意味 副隊長としていかに 俺が信頼されているかってこったな。



俺は あの朽木白夜という男がルキアを大切に思って 養子にした事は
知っていた。 だが、ルキアがそれを知らないとは 思いもしなかった。 

もっとも規律とルキアの命を秤にかけたあの人だから、あながちルキアの
感覚が間違っていなかったとも言える。
 
(でも、まぁ たぶん、あの人なりに相当悩んだんだろうとは 思う。  
 だいたい あの無表情からいろいろ解れって事の方が無理だって!!!)

ルキアが助かって、隊長がルキアに謝罪したことで 兄妹仲が良くなって、
ルキアにとっては 良かったと思う。

大貴族の朽木家って家名を背負って、あの鉄面皮の兄の顔色を必要以上に
伺って、縮こまるように歩いていた頃より、今は 生き生きとした表情で 
隊長にもいろいろと話が 出来るようになったって嬉しそうに言っていたからな。

ただしそれはそれとして、正直手放しに喜べねえ自分もいる訳で・・・・・。
(自分でもその狭量さが厭になるが・・・・)


夕方(辰の刻)になって、やっと隊首室に現れた隊長は 俺に一瞥すると、

「恋次、ご苦労だった、」

一言そう言うと、隊長室に入って行こうとした。 
いつもの如く必要最小限の言葉しか言わねえ・・・。

だが、今日は通りすがりにふっと 非番の 死覇装を着ていない時の
ルキアから薫るのと同じ、香の薫りがしたので、 思わずぼそっと 
言ってしまった。 

「−−−−楽しかったみたいっスね?」

隊長は ゆっくり俺に振り向くと

「恋次、貴様。 何か含むところでもあるのか?」

絶対零度のあの声で、室温を一気に5℃は 下げてくれた。

「・・・・べつに ないっス!」
「ふ・・・ん。 時に恋次、明日の大会のために鍛練せずとも
 良いのか?」
「は・・!!  んなもん必要ないっスよ。
 日頃鍛えてますからね。 今度こそ隊長に勝ちます!!」
「それは、貴様が 最後まで勝ち抜けたらの話であろう。」
「何 言ってるんすか。 賭けてるモノが違いますから。
 優勝して、ルキアにキスされるのは 絶対に俺ですから。」

言ってから、隊長の霊圧が ほんの少し上がったのに気付く。

ーー やべえ・・!! 
   隊長にだけは 言ってはならねえ本音が つい口に・・・・。

「そうか・・・。 鍛練しないと言うなら、丁度良い。 
 ここの書類も仕上げておけ。」
「−−隊長!?  それは 隊長の仕事じゃ・・・・・」
「17日の非番を出勤に変更しても良いが・・?」

こう言われては 俺は 抗議の言葉を飲み込むしかねえ。

(汚ねえ!!!  職権乱用だ!!!)

ーー 最近のこの人は ルキアが絡むとホント禄でもねえ! 
   アレ以来、どっか箍が外れたんじゃねえかってくらいに形振り
   構わなくなった気がする。

せめてもの抵抗に 
「・・・ルキアに話そ・・・。」ボソっとつぶやくと・・・。

「恋次」

冷静な落ち着き払った声で名を呼ばれた。

「私は これから帰って、ルキアに今年 大量に送られて来た 
 ルキアが見も知らぬモノドモや、義理の無い輩、特に男からの
 祝いの品々を送り返す手続きをせねばならぬ。」
「!!!!
 隊長! わかりました!! 
 そういう事なら此処は俺に任せてください。」

ーー 何だよ。 
   ルキアは 未だにこんなところでまで『時の人』なのかよ。 
   隊長もいろいろとルキアのために骨を折ってくれてるんだな。
   よかったな、ルキア。)

残業覚悟で 隊長の残していった書類を片付ける恋次・・・
白哉は まんまと恋次に仕事を押し付けて帰って行く。

ーー 御し易い男だ・・・。


屋敷に戻った白哉は 朽木家当主の名で一筆断りの書状をしたためると、
清家信恒に義理の無い祝いの品々に付けて送り返すよう言い付けた。

それからルキアの部屋へ行き、浮竹や花太郎、理吉、一護、織姫から
贈られた品々についてルキアが 嬉しそうに説明したり、
『礼状をどのように書いたらいいのでしょうか』と
可愛らしく相談されて 楽しい時間を過ごした。





  本当はルキアの移り香という色っぽい兄様に嫉妬する恋次が  書きたかったんです。 けれど書いているうちに 良い様に使われている恋次って 感じになってしまいました・・・・・ Jan.21.2008〜Feb.10.2008  「web拍手」のお礼文でした。