氷雨 4 



口吻た後、恥ずかしさから逃れるように俯いていたルキアが長い睫毛を震わせて 凡そ 
らしくないほど躊躇いがちに囁くように口を開いた。

「・・・・ れ・恋次・・・ちょっと待て・・・・一つ聞きたい・・ことが・・・」
「ん?」 

ーー 今度は何を言い出す気だ?! 今更、止めらんねぇぞ。
   
そのらしくなさが俺の不安を煽る。

「・・・・・ 私は何を・・・その・・・ 何をすれば良いのだ・・・?」
「ーーはぁ?ーー」

ーー なんかいろんな意味で くらっとくる質問だ・・・
   一瞬いろんな想いや夢が脳内を駆け巡る・・・
   だが、ガチ現実の目の前のルキアにすぐ正気に戻る。

「ーーー んー・・・、
 ーーまずはただ俺を信じて任せてくれ・・・・ 言葉じゃ説明できねぇよ・・・ 
 言葉じゃ伝えきれねぇ想いを 互いに全てを曝して
 見得も外聞もプライドも捨てて 身体で魂魄で感じるんだ。
 お前も俺も今まで自身でも知らなかった自分を相手を知ることになる・・・。」
「・・・・・・・」
「−−−それに痛みを伴う。
 これはたぶん間違いない・・・・、出来るだけ痛くねぇようしてぇが・・・・。
 最初はどうにも痛いらしい ・・・・
 −−−ルキア?」
「・・・・・・・」

無言で俯く小さな顔を 俺に向かせようと 表情を見ようと 頬に触れた瞬間、
びくりと震えて ルキアの緊張が俺の手に伝わる。
仰向けるのは止めて、そっと髪を撫でる。

ーー まだ時期尚早だったか・・・・

「ーーー怖いか?   嫌なら止め」「馬鹿者!
 嫌なわけあるまい!!
 貴様の気持ちが分かる折角の機会なのだからな。」

勢い良く見上げて いつもの勝気な瞳が俺を射抜く。
こんな時にすら精一杯強気を見せるルキアについ微笑ってしまう。
だが、その緩ませようとした己の頬の強張りに俺自身がいつの間にか緊張を纏って
いたのを気付かされる。

ーー ホントざまぁねぇ・・・。

「ば〜か・・・、これは機会じゃねぇよ。 
 始まりだ。」
「ーーーはじまり?」
「そ。  お互いをもっとよく知るためのな。」


そう言って笑った俺にルキアが安心したように小さく笑った。

長い前髪をかき上げてからその笑顔の首筋に添って手を差し入れて薄く開いた小さな唇を
再び貪るように深く口吻る。
指先で細い首筋を撫で下ろして ルキアには大き過ぎて不器用にしか着れなかった浴衣の袷を
鎖骨をなぞりながら 右に 左へ焦らす様にゆっくりと開いた。
ルキアの手が 拒むためではなく行き場のない不安定さから縋るように俺の手を
追って力なく掴んでくる。   
そんな所作すら愛しい。

雨の所為で日中にも関わらず薄暗い部屋に温かく柔らかく揺れる橙の火の光を受けて
露わになった肌が白さと滑らかさを主張する。
思っていたよりも膨らんだ形の良い胸が俺を誘う。

「・・・きれいだ・・・ 驚くほど・・・・。」

耳元で囁いたら、

「////// 馬鹿・・モノ!!」

ルキアらしい精一杯の回答があった。
ぎゅっと瞳を閉じて、唇を噛んで真っ赤な顔を俺の胸に押し当てているルキアの  
その恥じらい様があまりに らしくて愛しくてやっぱり少し笑ってしまう。

帯を解いて 指先で軽く肌を撫でながら、浴衣を更に大きく開く。
脇腹から その膨らみに合わせて白磁の肌の上のゆっくり撫で上げて、肩から浴衣を
滑り落として 肌理の細かい陶磁器の様な滑れかさを改めて指先と視覚で確認する。 
露わになった肩に唇を落とすとルキアが 驚いたように身体をびくりと震わせた。
肌が少し粟立ち 鋭敏になった胸の先端がはっきりとした形を見せ始める。
 
形の良い膨らみをゆっくりと柔らかく揉み上げる。  

「・・・・・・んむぅ・・・・んん・・・」

噛み締めていた唇から声が漏れ、ルキアの手が俺の手を強く掴んでくる。
過敏に尖った先端をそっと指先で触れると、きつく噛締めていた唇から 
ーーぁあっと 艶やかな声が漏れ、身体が弓のように仰け反り膝の上の足が乱れる。

その体勢のまま、そっと暖炉の前の敷物の上にルキアを横たえる。
口吻て耳元、首筋、鎖骨へと唇を啄ばむように落として、舌を這わせて 
ルキアの感度を測り 記憶していく。 

切なく甘い艶やかなBGMと共に 口唇と舌、手全体でその柔らかな双丘を余す
ところなく堪能する。  
切なく喘ぎ 甘い声で俺の名を囁くように呼ぶルキアが愛しくて 俺の熱情が煽られる。
唇を寄せ 赤い占有の後を残していく・・・ 小さな痛みとともに。

俺の頭を力無く押えるルキアの両手は 俺を胸から押して離そうとしているのか、
引き留めようとしているのか、もはや本人にも分からないのではないのか・・・・。  
ルキアの乱れた足の間に己の膝を割り入れ、腿の内側をゆっくりと掌で撫で上げた。

「あ、・・・ れんじ・・・、 そんなとーーーんぅ・・」

言いたい事はなんとなく分かるが、却下だ。 
俺はルキアの言葉を塞ぎ、口腔深く舌を絡めた。 
ルキアの甘く誘うような熱い吐息が俺の熱に絡み合い 魂魄が混ざり合い 意識を
深く心地よく酔わせていく。


十分に潤ったそこから愛液を指先に絡ませ、花弁をなぞる。 
ルキアの身体が撥ねるようにびくんと反応し、艶やかな嬌声が漏れる。 
思った以上に小さなそこを花芯に優しく触れながら、押し広げるようにかき混ぜると
華奢な身体を反らせて 脚を突っ張らせてルキアが左右に首を振り、俺の与える
刺激から逃れようと身を捩り、肩に置いた手を強く押してくる。

「・・・・んぁっ・・あっ・・・ぁあ・・れんじ・・・・ やだやだやだ・・・・
 そこは・・・ぃやぁ・・・・・ぁ・ぁん・・」

俺は細い肩を掴んで 少し体重をかけて逃がさない。

「ーーールキア・・・ 痛い?・・・ わけじゃねぇよな・・・?
 ーーーー本当に嫌か?」
「・・・いた・・くは・・ない・・っん・・・ んぁっ・・ぁあっ・・・で・でも・・
 わた・・しの身体が・・・・ へん・・・・・・ へんにな・る・・ぅぁあ・・ 
 だか・・ら・・やめ・・・ も・・ いや・・ あっ・・れんぁ・・・ぁああ・・・」
「それでいいんだ・・・ルキア・・・  まずは自分の身体の熱を知らなくちゃな。」

快楽に流されないように耐えるルキアの苦しげで物憂げな表情が 熱を帯びて潤んだ瞳が
もっと責めて乱れさせたいと俺の嗜虐心を煽る。
ルキアの脚をさらに押し開いて そこに口唇を寄せて まだ小さな花芯を舌先で突いて、
舐めて全体にくちづけて吸って・・・・ 舌で転がして男のそれのように硬く鋭敏にする。
その間も指を増やして 狭いそこを押し広げて出来るだけ痛くなければいいと思い遣る。




ーー ただなんとなく訳もなく怖くて不安だった・・・・
  
あちこち恋次に触れられる事が、くすぐったくて恥ずかしくて逃げたかった。
たぶん逃げようと思えば、鬼道を使ってでも逃げられたはずだし、恋次だって 私が
本気で嫌だと言えば、放してくれただろう。

実際、身体を強張らせて 震える私に気付いた恋次がいつものアヤツらしくないほど
柔らかく・・・・ 困ったように微笑みながら「嫌なら止めていいって」言ってくれた。

嫌ではないーー それだけは本当の気持ち。

また恋次にそんな顔をさせてしまった自分が嫌だった・・・ でも素直にはなれなくて
不安を吹き飛ばすように 「馬鹿者ーー」って強く悪態を吐いてしまった。

そんな私に恋次がいつものように「馬鹿」と罵って 「はじまり」なのだと笑って
くれたから 少し安心して恋次を信じて任せるって改めて決心した。

・・・・・なのに、恋次の手で、唇で、舌で触れられて肌感覚が敏感になって お腹の下
腰の辺りがどうしようもなくむずむずする違和感に 今すぐ逃げ出したいような、
もっともっと触れて欲しいような相反する気持ちになる。  
  
恋次に素肌の己の幼い身体を曝して 自分でも見た事のない処まで見られて、今まで聞いた
こともないような声を上げずにいられない自分がとても恥ずかしくて嫌だった。 


恋次に触れられたところが熱くなる 
掌で 指先で 唇で 舌で触れられれば、触れられるほど・・・ 
感覚が鋭敏になって熱をもつ 僅かな吐息にすらびくりと電流が走るように震える
ところどころ ちりっと小さく肌が焼かれてさらに熱をもつ

熱が身体の芯に集まってさらに拡がっていった
身体の芯に近いところにすら触れられ、口付けられて・・・・ 
どうしようもない感覚に逃げようとしたのに 絡め獲られてしまうと 
意識も 身体も 魂魄全体が熱に浮かされたようになって何も考えられなくなった・・・

熱に喘ぐように呼吸しながら ただ恋次の名を呼んで求めた
恋次が与える感覚に反応して 支配されて その感覚だけが全てになって
恥ずかしいとか どうしようとか、すべてが真っ白で何も考えられなくなっていた
何度となく押し寄せる熱の波に自分ではどうしようもないほど翻弄されて・・・
やがて私は悲鳴の様な細い声を上げて大きな波にのまれた。





「ーーーキア・・・ルキア・・・ 大丈夫か?」

茫然としていた私の耳元に恋次が顔を寄せてそう囁いて優しく私の髪をかき上げる。
一人大海の波に揺られていた不安から思わず恋次の首に腕を廻して安心を求めた。
いつの間にか浴衣を脱いで私を抱き締めてくれる恋次の その素肌で触れ合う互いの
体温が 魂魄がとても心地よかった。
身体を走る快感に翻弄されて 溺れていく自分らしくない自分が怖くて
まるで自分の身体が自分のものではないかのような 実体を持たない感覚だけに
なってしまった様な・・・
そんな心許無い自分が恋次に抱かれて素肌で触れてやっと実体を身体を取り戻した。

子供のように訳もわからず泣きながら恋次の名をただ呼んでいた。
そんな私を恋次も強く抱き締めて・・・ 私の名を甘く囁く・・・・

恋次が口吻て 私を求めるように貪るように舌を絡めてまた霊力が混ざり合い
互いの熱を伝え合う・・・ いいようのない感覚にまた意識がのまれそうになる

私の身体を何かが割り入ってきた・・・
最初は痛みもなくむしろそれさえ互いの魂魄の熱を伝えてくれるモノだった。
だが、もう一杯だ・・ それ以上は無理だと思うのにゆっくりと突き上げてさらに中に
押し入ってくる・・・ 
それ以上は無理だと 嫌だと伝えたいのに塞がれた口腔は恋次の伝える熱に翻弄されて
吐息を漏らすことしかできない
両胸を触れる恋次の両手で先ほどのように心地良い熱が身体の芯に伝えられて・・・
ゆっくりとだが力強く押し入ってくる恋次の動きを押し留めたいのに四肢は
弛緩したまま力が上手に入らず思うに任せない・・・
だが腰を割り入るような 壊すような痛みに思わず首を大きく振って悲鳴のように
呻き声を上げて仰け反る・・・・
やっと動きを止めてくれた恋次の顔を見上げれば、自分こそすごく苦しげな顔をしてる
くせにーールキア、大丈夫か?って酷く狼狽して心配そうに聞いてくる・・・・

そうだ・・・・恋次はいつだってそういうヤツだった・・・
私のために・・・・ 私を庇って・・・・ 
自分が酷い傷を負っていたとしても 無傷にも近い私の心配をして
ーー大丈夫か?−−って聞いてくる。

私はなんとか微笑して恋次の首に腕を廻して抱き寄せた。
ーーそうだ、恋次を信じて任せると決心していたのだ・・・・。

ーー大丈夫に決まっておろう・・・ 貴様の腕の中にいるのだからなーー

そう言って耳元に口吻て 慈しむように恋次の頭を抱いて 髪の紐を解いた。
私の苦痛に歪む顔を見られたくなくて、恋次の色と香りに包まれたくて・・・・
さらさらと緋色が流れるように肌に降ってきて 眼前の全てが恋次の緋に覆われた。


途端に私の中のそれがびくんと動いて・・・ 
何故だかそんなことが愛しいと 受ける痛みよりも愛しいと思えて涙が溢れてきた・・・
再び突き上げられて・・・ 感じる痛みは変わらず激痛なのに
その痛みが嬉しくて愛しかった。


流魂街・戌吊から何一つ持たずに統学院に入った私達。 
その後、後ろ盾もない恋次が護廷十三番隊の中で副隊長になるまでにどれほどの努力と
苦労があったのだろうか・・・
戌吊で死神になろうと言った私に「あぁ。」とだけ返事した恋次の中にあったのは
どんな決意だったのだろう・・・。

梅針と戦った時は闇雲に飛び出した私を庇って大怪我させてしまった。
極刑に処される私を助けるために卍解を会得した事。 
白哉兄様の卍解を受けて生死に関わるような大怪我を負ったと人伝に聞いた。
そんな九死に一生を得たような身体をおして さらに双極まで私を助けに来てくれた。
藍染の求めに応じて私を渡していれば、あのように無用の傷をさらに負わずに
済んだ筈だ。
朽木家に養子に行くように薦めたのは私が本当の家族と暮らせると信じての事だと
最近、清家が話してくれた。
戌吊にいた頃だって・・・・ 仕事先から何度となく怪我をして帰って来ていた。 
あの街がどんなに劣悪な街だったか死神になって改めて思い知らされた今なら分かる。
守坂という街を統轄する元締めの一人の元で働くことがどれほど危険な事だったか。

ーー何も語らぬ恋次。  今までどれほどの痛みを負ってきたのだろうーー





私の首筋にあたる恋次の息が ルキアーーと繰り返し名を呼ぶ声が熱い・・・
肌を這う舌が 唇が熱を持って さらに私の熱を煽る・・・
痛みよりも熱で自分の意識がまた感覚に支配されて何も考えられなくなっていく
肌に感じる恋次が全てで 意識も感覚も身体も全て恋次に埋め尽くされて
熱に浮かされて喘いで ただ恋次の名を泣きながら呼ぶことしかできなくなる


恋次が私の腕を解いて手を繋ぎ合うと身体の最奥までさらに深く埋め尽くされて 
力強く大きく抜き差しされると波がいくつも寄せてきて
何度目かの大きな波に意識がまた攫われた・・・
今度は不安などなかった
繋いだ手と柄の入った間違えようのない大きな胸がすぐ傍で私に触れ 包まれて
私達は互いの名を呼び合い 求め合って
徐々に交じり合う魂魄は一つに融けて一緒の波に攫われた






俺は精を出してすぐにルキアを抱いたそのままに反転して仰向けに横たわった。
まだ息荒い 鼓動の早い俺の胸の上にぐったりと横たわるルキアの瞳から流れる
涙をそっと指先で拭い取って髪を梳くように撫でて華奢な背を抱き締める。
改めて目にする薄い肩、折れそうなほど細く白い腰や腕、繋いだ小さな手が
痛々しくて 堪らなく愛しかった。

戌吊でどんなに酷い怪我をしても黙って痛みに耐えていたコイツが俺を深く受け
入れた時 激しく首を振って痛みに耐え切れずに声を上げた・・・・・
それなのに心配して顔を覗きこんだ俺には 小さく笑ってみせた。 
細い腕で優しく包むように俺の頭を抱いて、邪魔臭く髪を解いたルキアが
華奢な肩口に俺の顔を抱き寄せて 俺の腕の中なら大丈夫だと言ったルキアが
あまりに健気で 苦しいほど愛しくて・・・・ 愛しくて堪らなかった

静かに涙を流しながら痛みに耐えて 切なく喘ぐような吐息とともに耳元で俺の名を
うわ言のように繰り返し呼ぶ声にルキアの中で己自身がさらに大きく猛り、反り返り 
ルキアを強く求めずにいられなかった。

「・・・ぁあっ・・れん・・じ・・・・・・・・ぁっ・・あっ・・・ぁあっ・・
 ・・・・・・・れん・・れ・・・ん・・・ぁあっんっ・・・・れ・・んじ・・・」

ルキアの声が徐々に艶と甘さを孕んでくると初めてだから優しく・・・ だとか
軽く早目に終わらせてやろうなんて余裕ある考えは全て吹き飛んでしまった。
ルキアの腕を解いて 熱情に任せるように ルキアと一つに交ざり合う魂魄・身体
霊力の絡み合う快感に強く酔いしれて 一心にルキアを求めて深く突き上げて 
大きく動いて 激しく抜き差しさせた。
だんだんと濃く交じり合う魂魄の中のルキアの存在と熱だけが俺の感覚の全てになる。
ルキアが甘く細い悲鳴を上げて身体を震わせると 中の俺自身を求めるように強く
縛って伸縮すると俺も精を深く吐き出した。

一瞬頭の中が真っ白になるほどの強い快感と深く陶酔したような心地よい脱力感に
襲われてその場に倒れ伏したかったが・・・・腕に抱くルキアの小柄で華奢な身体を
思い 抱いたまま抜かないまま反転して仰向けに横たわって大きく息を吐いた。
やっと求めていたものを手に入れた喜びと深く交じり合った魂魄に幸せを実感した。
こんなにルキアを抱く事が幸せな事だと 気持ちのいい事だと
胸が一杯になるほどの感動的な事だとは思っていなかった
幸せをこんな事で強く実感するなんて・・・・
女を抱いて・・・ ルキアを抱いて初めて虚無感ではなく、充足感を得た自分に
泣きそうになった。  ーー馬鹿か・・・俺はーー



今までこの手で抱いた女達もそれなりに好きで付き合って結んだ関係だったのに
何故か抱いた後は虚無感に襲われ、その場に居た堪れなくてすぐに身体を離して
風呂場に逃げ出さずにいられなかった。
抱く前には可愛いと思っていた仕草にさえ鬱陶しいと思い、一緒にいることが鉛を
背負うように煩わしく感じる自分自身を嫌悪した。



ーー 女なんて抱いて気持ち好くしてやって、自身も気持ちが良けりゃ
   それが全てでいいんじゃねぇの・・・・
   何をそんなに考えるってんだ?
ーー ば〜か!  おめぇは本当に好きな女を抱いた事がねぇから 
   分からねぇんだよ!
   そりゃぁ、もう別格、破格にいい!
   超幸せを実感できるんだって・・・
ーー そんなん奥さんがめっちゃ美人ッスから そう思うんっスよぉ・・・
ーー 馬鹿!  そうじゃなくてだなぁ・・・・ いや 美人だけどもーー

俺の相談を軽くあしらった女ったらしの先輩相手に愛妻家の隊士が熱く語ってた事を
ふと思い出す。
酒の席上の戯言だと 単なるノロケなのだと思っていた。


俺の魂の飢えを癒して 充分に満たせるのはルキアだけなんだと改めて思い知る。
もう離すことなどできない・・・ 
永遠に今が続けばいいと馬鹿な事を思うほどに愛しい存在・・・ 
俺の全て




微かに震える睫毛からもうすぐ目覚めるだろうルキアに何て言おうか・・・・。
コイツはなんと言うのか・・・?
いや、今は言葉など要らない・・・・
柔らかな髪を撫でてそっと抱き締めて切ない程愛しい気持ちを宥める





  後書き