小春日和 SIDE A
月末明けのその日、連日の残業で疲れていた俺はかき込むように昼飯を食ってしまうと
昼寝するために人気のない丘の木の根元に大の字に寝転がった。
この季節にしては風もなく うららかな小春日和のこの日 日向なら屋外の草の上で
寝たとしてもぽかぽかと暖かく 頭だけは日影にして腕枕をすると
疲れた身体が眠りに落ちるのにそう時間はかからなかった。
理吉に 伝令神機を預け、何か急用があれば迎えに来てくれるように頼むという
周到さで完全に眠るつもりだっだ俺はさわさわと草を小さく鳴らして近づいてくる
気配に気付いた時 軽く憤慨した。
(理吉のヤツ、ぜってえ誰にも言うなって 口止めした場所を誰かに
バラしたのか!?)
残念ながら、俺は寝起きの機嫌がすこぶる悪い。
起ききるのに少し時間がかかってしまうので どうしても不機嫌になってしまう。
理吉もそれは承知してるはず・・・・・。
だが、霊圧を探れば、足音の主はルキアだった。
いつもならここで起きて相手をしたいところだが・・・・、連日の残業で
溜まった疲労から身体を動かすことすら思うに任せず、限界まで眠い瞼は
重く開ける事も叶わなかった。
声も出せず、半覚醒した意識下で謝った (悪りぃ、ルキア・・・)。
「恋次、副隊長のくせにこんなに無防備に寝ていて良いのか!?
顔に落書きするぞ!?」
(・・・・・も・・・ 好きにしてくれ・・・・)
一人ぶつぶつと喋りながら、ルキアが俺のすぐ横に座る気配がした。
「・・・・本当に眠ってしまったのか?!
理吉殿に疲れてるようだと聞いたゆえ鯛焼きを買ってきたぞ・・・・・。」
「ふ・・む・・。
ホントに変な眉の癖に羨ましいほどの寝つきの良さだな。
寝る子は育つというが・・・・その典型のようなヤツめ。」
(うるせえ! ってか余計なお世話だ。)
その言葉を最後に 腕枕をしていた俺の肩口にコトリと小さな重みがかかり、
さらさらと流れ落ちる柔らかな髪が 腕をくすぐってくる。
鯛焼きの甘い香りを中に微かにルキアの香りがした。
俺の脇腹に死覇装の上からじんわりと伝わる体温からルキアがぴったりと
寄り添うように寝転がったのだと理解する。
しばらくすると 懐かしい穏やかな寝息が聞こえ出した・・・・。
(てめえのほうこそ無防備で寝つくの早えぇって!!)
そう半覚醒した頭でつっこみを入れて、身体をルキアに向けると華奢でしなやかな
小さなルキアを抱き寄せて腕の中に包み込んだ。
護るように
温めるように
愛しむように
頬にそっと口付けて・・・・ 結界を張って 再び眠りに落ちた・・・
最近の日和から 戦士に穏やかな休息を。
『やる気』の元 ありがとうございました!
Jan.12 〜 Feb.01.2009
あとがき
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