おまけ

「 ーー  アイツと付き合うには『忍耐』は絶対に必要なんだぜ。  あの偉そうな口調に喧嘩腰の悪態にどれほど怒りを抑えられるかって意味でも。  男心を分かろうしない鈍感さと、男の疚しい気持ちを全く知らない幼さで   自分の『女』や『可愛らしさ』を無自覚なアイツは 全く無防備で  時として挑発的に俺に接してくるからだ。  これは 本っ当に生き地獄の様な『忍耐』がいるって!」 こう言って恋次さんは お猪口の酒を一気に呷ると机に 叩きつけるように置いた。 その音にオレはびくりと体を震わせた。 と、同時に我に返り、恋次さんの後ろに感じた強い視線を気付いた。 「恋次さん!  ヤバイッス!  後ろ!」 酔ってノリノリで話している恋次さんをオレは慌てて止めた。 だって後ろには 伊勢七緒副隊長と松本副隊長と一緒に店に入ってきた ルキア様がすっごい恐い顔で腕組みして立っていたから。 「・・・え、後ろ?   後ろを見ろって?」 振り向いた俺の目には 冷ややかに俺を見下ろす伊勢さんの事も にやにやと成り行きを楽しそうに見守る乱菊さんの姿も入っていなかった。 ただ、その2人の前で久しぶりに会うルキアが腕組みしている姿しか見えなかった。 その顔は眉をヒクつかせて怒りを露わにしていたのだが、それさえ気付けないほど 俺は酔っ払い、浮かれていた。 「!! ルキアvvvv」 言うが早いが、俺はルキアを抱き締め、口吻ていた。 私は恋次が怒っている私に気付けば、きっと驚いて怯むはずと思い込んでいた。 ましてやこのような人の居る場所でそんな暴挙を行うとは思ってもいなかったので 完全に油断していた。 腕を強く引かれ、あっという間に大きな腕の中に抱き締められて 反撃する間もなく 腕をつかまれたまま口吻られていた。 抵抗も許さぬほど強く抱き締められ、こんな・・・松本殿達の目の前で こんな・・ 恥ずかしい・・・・ 無理矢理・・・・ ・・ 止めろ! って言おうとした唇を割って酒の臭いとともにぬるりを 口腔深く恋次の舌が・・・・  ーー 嫌、こんな恋次は大嫌いだ!! どかっ!!   ばしゃーーっ!! 「あれ・・・?  乱菊さん、伊勢さん?!   何するんスか?  いきなり頭を殴って、水をぶっ掛けて・・・・・?」 「酔いが醒めたみたいね、酔っ払い。」 「あんた、今 あんたの大事なお姫様に何をしたか、わかってる?」 「泣きそうになって走って行ったわよ・・・。」 乱菊さんと伊勢さんに冷ややかに怒りを込めて告げられた。 「・・・・え? ・・・・!! あ・・・」 俺は一気に酔いから醒めて頭から血の気が引いていく音が聞こえた。 ルキアが走り去った 開いたままの居酒屋の扉から慌てて走り出る俺。 大丈夫 少し酔いが身体に残っているが、余裕で追いつける距離。 問題はその後・・・・。   やべえ! ぜってぇ 怒らした。 いや、傷付けた・・・。


この後、恋次さんは 松本・伊勢両副隊長に大量の酒を贈っていた。 そしてオレをしばらく飲みには誘ってくれなくなった。 オレにとってやっぱりルキア様は鬼門かもしれない・・・。 『やる気』の元 ありがとうございました! 以上、『惚気』 と 『おまけ』 でした。 あの後、めっちゃ謝ったら許してくれるんでしょうか? ルキアは怒りを長く溜め込むタイプでしょうか? あっさりと許しはしないでしょうが、ウジウジといつまでも 怒っていられる性格じゃないといいですvvvv あとがき 最後までお付き合い頂いてありがとうございました! Feb.01.〜Feb.26.2009