拍手ありがとうございました! 放課後放課後、一護は越智先生に進路のことで呼ばれていた。 「黒崎〜〜、成績に問題はないんだが、出席率をもう少し何とかできんのか?!」と説教された。 今まで何度か先生の呼び出しを虚の出現などですっぽかしていた所為か、アノ先生にしては珍しく エキサイトして (事情を話せないのだからしかたないのだが。) 言い訳しない俺に怒っていた。 そのうちに話が逸れてルキアの出席率と英語の成績にまで話が及び・・・・・ 内心 『ソレは俺じゃなくルキア本人に言ってくれ!』 と思ったが、またさらに説教がヒートアップ されるの嫌さに黙って大人しく聞いていた。 「もう帰っていいぞ。」 とげんなりと疲れた先生から解放されたとき、校内に生徒がほとんど 残っていないようなかなり遅い時間になっていた。 教室に戻るとルキアが一人一護の席に座り机に突っ伏して待っていた。 「ルキア、待っていてくれたのか・・・?」 けれど、声をかけても予想通りぴくりともルキアは動かなかった。 突っ伏した腕の下に本が開かれたまま置いたあった ーーきっと読んでいる内に寝てしまったんだろう。 コイツってどうしてこう無防備なんだろう・・・・・。 本人はそんなことないって 無防備なんかじゃないって否定するけれど 過去何度もうたた寝してるコイツを見たことがあるし、いつだって近寄っても すぐに起きやしない! 「ルキア、帰るぞ。」 屈んで声をかけると。 「・・・・さむい・・・」 ぼそりと言って俺の首に細い腕が伸ばされて抱きつかれていた。 一瞬慌てるが、寝ぼけたルキアは いつもこんな風に ”甘えた”で 過去に何度か こういうことがあったので ため息一つ大きく吐いて自身を落ち着かせる。 同時にコイツをこんな風に甘やかした幼馴染の赤い髪のアイツが頭をよぎり、一瞬 胸がちりっと焼けた。 一護自身ーールキアにとても甘いのだが、本人にその自覚はないらしい。 ルキアは氷雪系の斬魄刀を持つくせにこの義骸は寒さに弱いーー白哉の特注品だ。 「仕方ねぇなぁ・・・」と一人ごちて・・・・華奢な身体を抱きとめる。 着ている制服ごと冷えていて、細い指先の触れた首がぞくりと震えた。 「・・・一護・・・・温かい・・・」 「ーーそうかよっ。」 照れ隠しに乱暴に返事をして不安定な体勢から 立ち上がって細い身体を自分に密着させて腕全体で 覆うようにさらに抱きしめる。 呼ばれた自分の名前に寝ぼけて誰かと間違えて抱きついた訳ではないのだと少し安心した。 寄せ合った頬がひんやりとルキアの鈍さをーー ふわりと香る甘さが愛しさをーー俺に教える。 しばらくそのまま抱きしめて暖を分け合っているとーーー 「一護・・・ 遅かったな・・・・」 またぼそりと告げられた。 「悪りぃ・・・・ だから 先に帰ってろって言っておいただろ?」 「馬鹿者! 死神代行の所為で叱られたのであろう? 放って帰れる訳があるまい。」 「ば〜か、べつに叱られてなんかいねぇよ。」 「しかしーー!」「いいから、そろそろ帰ろうぜ。」 「やだ! ・・・もうすこし・・・このまま・・・」 即答却下されたこともだが、あまりに子供っぽい ルキアらしくない返事に驚く。 今、きちんと会話できたくらいだから もう寝ぼけてはいないはずーー。 ”甘えたルキア”を珍しく思い、そろりと表情を覗こうとすれば 察したルキアが 腕をきつく巻いてさらに密着して視野を奪う・・・・ 赤い耳だけが視界に入った。 「ルキア・・・・・・」 力なく呼んで・・・・・ 俺は間もなく「もう少し」の意味を知る。 教室の窓に差し込んでいた太陽の最後の赤い残光が消えて あっという間に俺たちは 夕闇に沈んだ。 まもなく首に巻かれたルキアの腕が緩み ”照れ隠し”にこの時を待っていたのだと 理解する。 帰ろうと一護自身から言っておきながら、ルキアを手放す名残惜しさが胸を覆い。 らしくない計算をしたルキアが悔しくて思わず闇に浮かぶ白い首に口付けた。 「ひゃぁっ」 間抜けな声を上げて 驚きのあまり言葉もなく瞳を大きくしたまま俺を見る ルキアが可愛くて愛しくて・・・・その動揺があまりにらしくて・・・・・ 戸惑う小さな唇に口吻る。 抱き上げたまま離さない俺に真っ赤な顔でいつもの強気で抗議された。 「いい加減、離せ!! 馬鹿一護!」 「てめ・・・・温めてやった感謝の言葉はなしかよ!」 「ーーも、もし・・・もしも誰かが来てこんな姿を見られたらどうするつもりだ?」 「こんな遅くまで誰もいないし、暗くてどうせ誰だかわかんねーよ。」 「ーーだ、だが、そろそろ帰らねば・・・遊子や夏梨、親父殿も心配」 「しっ。」 「・・・んっ・・・」 たどたどしく理由を一生懸命考えて抗議してくるルキアが可笑しくて可愛くて 余計に離す気が失せる。 深く口吻てーーこの気持ちを伝える。 愛しさは募るばかりだーー
あとがき