朽木兄妹 ドアを蹴破ったかのようにばんと大きな音をたてて、ルキアが俺の部屋に飛び込んできた。 「喜べ、一護!  兄様が現世にいらっしゃる!」 せっかく平和な日曜日をベッドでのんびりと寝転んで雑誌を読んで過ごしていた俺は ノックもなく突然現れたルキアに文句を言う事も忘れるほど驚いた。 「うぉっ、ルキア!?   ビックリしたっ!」 「たわけ、何を油断しているのか!  だいたい貴様は私の話を聞いていたのか?   兄様がいらっしゃる ”びっぐにゅーす”だ!  今、伝令神機に清家から連絡があったのだっ!」 大きな紫色の瞳をきらきらと輝かせて嬉しそうに俺を見る満面の笑顔と、うきうきとした気分を 全身に溢れさせたルキアに 逆に白けた気分ーーいや、正直面白くなくて 「白哉が現世に?  マジかよ〜〜?!」 そうボヤいて見ていた雑誌に顔を埋めた。 ーーってか 喜べってのは何だよ?!    白哉に会える事をそんなに大喜びできるのはお前だけだって・・・・。   正直、アイツには酷い目に遭わされた事のほうが多い俺は全然喜べねぇって!   兄妹仲がいいのは結構なんだが、コイツの場合少し行き過ぎじゃねぇのか?   最近・・・そう思う。   授業参観に来たり、学祭の喫茶にまでわざわざ茶を飲みに来て、ルキアを1時間以上も独占した。   ルキアは一応現世に ”任務”で来てるはずだろーが!! 「ぐえっ」 考え事に集中して完全に油断していた俺は腹に勢いよく衝撃を受けて、奇声を上げた。 気が付けば、小さな手で胸倉を掴まれて 力づくで引き起こされていた。 俺の腹の上にワンピース姿なのも構わず、跨って喉もとのシャツをぐいぐい締め上げるルキアのすげぇ 怒った顔が目の前にあった。 「一護、貴様ぁ 兄様がせっかくいらして下さるというのに何だ、その物言いは!?    兄様への無礼は私が許さぬ!」 「ちょ、待て待てーー 待てって!!    ルキア、落ち着けって・・・・・」 いきなりな展開に動揺とともに焦ってルキアを制止する俺の声はかなり慌てている。 ーーそりゃぁ、そうだろう・・・ 胸倉を掴んでいきなり引き起こされたとはいえ、好きな女にてめぇの腹に跨られて、 捲れ上がったワンピースの裾から眩しいほど白い足を誘う様に見せつけられて! 怒っていても可愛いと思ってしまうほど愛しい女の顔が食いつかんばかり表情とはいえこれほど 至近距離に寄せられているのだ!  互いの鼻は今にも触れそうなほど近いーー 大きな瞳には俺しか映っていないーー 好きな女にここまで迫られて平気で居られる男がこの世にいる訳がねぇっ!! 「何を待てとーー」 俺の慌てっぷりに少し冷静になったーーけれど、咎める口調で質問するために開かれた唇を 己の唇で強引に塞いだ。 態勢を保つためにも華奢な身体をきつく抱き締めたので胸倉を掴んだままの細い腕は二人の 身体の間に挟まれて動かせないーーつまり拳が飛んでくる心配も今は皆無って事だーー 「いち・・・・んっ・・・・・・ ぁ・・ん・・・・」 ゆっくり深く口付けを求めていけば、漏れる吐息の甘さに胸が苦しいほど締めつけられて痛い 逃げる舌先を捕らえて、絡まる互いの熱情を確認するーー そうして 俺の胸を苦しいほど焦がす熱い想いがルキアに伝わればいい・・・・ どれだけ俺がルキアを想っているかーー 言葉では言い表せない、息が詰まりそうなほど苦しい想い ルキア気にする男達ーークラスメイトや死神達に滅却師・・・・  コイツが未だに頼りにしている赤い髪の幼馴染やおちゃらけた店主 なによりルキアが大事に思っているように見えるーー兄・白夜 全て忘れて俺だけを見ろーーせめて・・・今この時だけでも・・・・ 深く口づけたまま、角度を変えて貪る様に求める・・・ このまま離さずに抱いて・・・ 抱き潰してしまおうか・・・ 信頼もーー ルキア本人もーー 全て壊したいほど身の内を焼く激しい衝動に翻弄されるーー


  あとがき&続きます。「一ルキ 2」 『やる気』をありがとうございました。 July 4 〜 Aug.12 2010